いざという時の手引き

葬儀・告別式の手引き-いざという時の手引き

葬儀・告別式の手引き

葬儀の決めごとは葬儀社と相談

何はなくとも進行を確認する

実務的な用意は葬儀社に任せて構いませんが、いくつかの内容は遺族や世話役が葬儀社と打ち合わせの上で確認しておくとよいでしょう。
まずは、進行の確認です。式次第に落ち度がないかを進行係を交えて再確認しておきましょう。続いて席次の確認です。通夜の席次に準ずれば大きな混乱はありません。葬儀だけに出席する人は、順次案内していきます。
また誰からの弔電を紹介するかも決めておかなければなりません。葬儀の時間を考えると、紹介できるのは2~3通でしょう。
弔辞の依頼も葬儀の前までに済ませておくべきことのひとつです。故人と親しかった友人、会社の直属の上司などに依頼します。故人の人柄や業績などを詳しく語れる人が適任です。

会葬礼状と清めの塩を手渡す

会葬礼状は葬儀への参列のお礼を伝えるもので、出向いて挨拶すべきところを、それに代えるものです。本来であれば後日郵送することが望ましいのですが、便宜上、葬儀後に出口で清めの塩と併せて手渡すことがほとんどのようです。ハガキと封書のものがほとんどですが、封書のほうが丁寧とされています。
文例は、葬儀社に依頼して用意してもらいましょう。下記の例文を参考にしてください。日付は葬儀を行った日を記します。
葬儀に欠席した人が供物や供花を送ってくれた際は、葬儀後に速やかに礼状を送付しましょう。

一般的な会葬礼状の書き方

亡父○○○○の葬儀に際しましてはご多用のところ遠路態々ご会葬くだされ、ご芳情のほど有り難く厚く御礼申し上げます。早速お伺いの上お礼を申し上げるべきところ、略儀ながら書中を以って謹んでご挨拶申し上げます。

平成○年○月○日
喪主 ○○○○

一般的な葬儀・告別式の流れ

近しい友人から死亡を伝える

①遺族、参列者着席
葬儀開始前に遺族・参列者は着席します。喪主と遺族は参列者より早めに着席します。
②僧侶入場
参列者が着席したら、世話役が導師を式場に案内します。式場が座敷の場合、入場の際に参列者一同は座ったまま一礼しますが、椅子席の場合は起立して一礼します。
③開式の辞
進行役(司会)が開式の挨拶をします。 「ただいまより故○○殿の葬儀を執り行います」と簡潔に述べます。故人を回想したり人柄を述べたりする必要はありません。
④読経
お経は宗派や僧侶によって異なりますが、20~30分ほどかかります。お経をあげることで死者を帰依します。
⑤弔辞の拝読
進行役が弔辞の拝読を求め、弔辞を読む人の名前を呼びます。呼び方は、「これより○○殿よりご弔辞を 頂戴いたします」というように簡潔に述べます。読み終えたら、同じように次の人を指名します。弔辞を読む人は1人~3人です。読む時間は1人が2~3分く らいです。進行役が注意すべきことは、弔辞を読む人を呼びあげる際、その人の名前を「様」ではなく「殿」で統一すること、弔辞を読み終えたとき、声をだしてお礼をするのではなく、おじぎをすることなどです。
⑥弔電の奉読
進行役が「ただいまより弔電を紹介させていただきます」と挨拶し、選んでおいた弔電を読み上げます。 紹介する弔電の数は2~3通ぐらいです。その他の弔電については「他にも多数いただいておりますが、時間の関係でお名前だけを紹介させていただきます」と 言って名前を読み上げます。
⑦遺族、近親者焼香(読経中)
僧侶の読経が再び始まり、僧侶が自ら焼香した後「ご焼香をどうぞ」と合図するので、喪主から順に次々に焼香します。
⑧僧侶退場
僧侶は焼香が終わると、読経を終え式場を退場します。一同は黙礼で見送ります。
⑨閉式の辞
僧侶が退場したら、進行役が「これを持ちまして故○○殿の葬儀がとどこおりなく終了いたしました。この後告別式を執り行いますので、しばらくお待ち下さい」と挨拶します。

三途の川を渡るための釘打ち

供花の花だけをちぎった別れ花

告別式が終わると、棺を開けて故人と最後のお別れをします。このとき、供花の花だけをちぎった「別れ花」を故人の周囲に敷き詰めます。
別れ花を終えて蓋を閉じ終えると「釘打ち」の儀式に移ります。葬儀社によって棺の蓋の釘を途中まで打ち、その後、参列者がひとりずつ小石で軽く2回ずつ打ち付けます。この石は三途の川の石を意味しており、三途の川を無事に渡れるようにと祈りが込められています。

その後、棺は霊柩車に運ばれます。先頭に位牌を持った喪主が立ち、遺族が遺影を抱えて棺は他の遺族や近親者の手によって運ばれます。頭を後ろにしたまま進み、そのまま霊柩車に乗せるのが風習のようです。

出棺前に喪主は再び謝意を

棺を霊柩車に乗せた後は、喪主あるいは遺族の代表者が、見送りしてくれた会葬者にお礼の挨拶をします。
会葬のお礼、故人が生前お世話になった感謝の気持ち、残された遺族への今後も変わらぬ付き合いをお願いし、最後に謝意を述べます。

霊柩車を先頭に火葬場まで行く

火葬場まで行くのは喪主、遺族、近親者、親交のあった友人などです。前もって人数を確認し車やバスの手配をしておきましょう。また、僧侶も同行する場合 は、喪主と同じ車に乗るのが通例です。霊柩車は葬儀社の人が運転し先頭を走ります。帰路は道順を変え、同じ道を通らずに帰るのが通例です。

三途の川って、どういう意味?
仏教において三途の川は、死者が死後7日目に渡るとされている川です。そして三途の川には3つの異なる速度の瀬があり、生前の行いによって渡る方法が違っていました。善人は橋、軽罪の者は浅瀬、重罪の者は流れの速い深みを渡ったようです。しかしもともとの意味は、悪行を重ねた者が行く3つの世界、地獄道・ 畜生道・餓鬼道が「3」の由来のようです。いつしかその三途の意味が変化し世界の数から通りの数になったと言われています。

忘れてはいけない火葬許可証

火葬許可証が埋葬許可証に

火葬の際は「火葬許可証」が必要です。予め葬儀社が手配してくれますが、これがないと、法律的に火葬することができません。この火葬許可証には、火葬後に 火葬済みの認印や日付を記入してもらいます。これは埋葬許可証になり、埋葬の際には骨壺と共に墓地へ提出するので大切に保管します。
また、火葬場では各係員に心付けを渡すこともあるので用意が必要です。心付けは3千円~5千円が相場です。

火葬の前には最後の焼香を行う

棺が火葬場に着くと、火葬炉の前に安置されます。そして備え付けの小机の上に、持参した位牌や遺影などが飾られます。参列者は合掌してお別れをします。
その後、棺は火葬炉に納められ、火葬の開始と同時に僧侶が読経を開始します。そして読経が続く中、参列者全員が順に焼香をします。これが納めの式です。
火葬にかかる時間はおよそ1時間です。この間、参列者は火葬場の控え室で待つことになります。その際はお清めの席と同様にお酒や簡単な食事でもてなします。

骨上げは二人一組で箸渡しする

火葬が終わると、火葬炉の前で骨上げをします。参列者が二人一組になって竹の箸でお骨を拾い、骨壺に納めます。二人一組でお骨を拾い上げるのは、この世からあの世へ故人を橋渡し(箸渡し)する意味が込められています。
骨上げが終わると、骨壺は骨箱に収められ白布に包まれます。喪主がこの骨壺を受け取り、位牌と遺影を遺族が持ち帰路につきます。

さまざまな「骨壺」の種類
現在使われている骨壺は、そのほとんどが陶磁器製で、陶器は三重県四日市市、愛知県常滑市、磁器は愛知県瀬戸市が有名のようです。有名陶芸家による作品や大理石を使用した高級品なども出回っています。デザインにも趣向が凝らしてあり、七宝の色鮮やかなもの、花柄のもの、経文入りなど多種多様です。また骨壺 は東日本と西日本では大きさが異なり、東日本のほうが大きい物を使うようです。これは西日本に「一部拾骨」という風習があるからです。大きさは大きい物で高さ6~7寸(約20センチ)、小さな物では4寸(約12センチ)などがあり、6~7寸が一般的な大きさのようです。また骨壺を収納する骨箱には桐、モミの白木などが使われています。

遺骨迎えと初七日法要を兼ねる

後飾りには遺骨・位牌・遺影を

出棺を見送った後、家に残った人たちで葬儀用の祭壇を片づけ、遺骨を安置するための後飾り用の祭壇を用意します。一般的に祭壇には、遺骨、位牌、遺影を置きます。
遺骨が火葬場から戻ってきたら、遺骨迎えの供養を行います。僧侶がお経を唱え、参列者全員が焼香をします。葬儀終了を意味する儀式であり「還骨勤行」(かんこつごんぎょう)の供養ともいいます。 また最近では遺骨迎えの席で初七日の供養を兼ねることが多いようです。葬儀後に初七日法要を行うことを「付け七日」と呼んでいます。

お清めをして僧侶などへお礼

僧侶、世話役、親族、友人・知人など、葬儀に至るまでにお世話になった人たちへお礼の意を込めて開く宴席を「精進落とし」といいます。遺骨迎え、付け七日に続いて行います。この席では、僧侶や世話役を上座に据え、喪主や遺族は下座に着いてもてなしに徹します。

後飾り

精進落としとは?
かつては、遺族は忌明けまでの期間に肉や魚を食べずに精進料理で過ごしていました。そして忌明けと共に日常生活に戻る際に食卓に肉や魚を並べ、精進落としの儀をもって葬儀に対するけじめがつけられました。もともとは仏教においては、せめて家族の一員が亡くなったときくらい獣や魚などの生き物の生命を奪わな いようにしようと努めたのが由来です。しかし現在では色々な変化を重ね、葬儀関係者への労いの席として、精進落としの宴が開かれています。

引き継ぎ、支払いなども大切

引き継ぐのは香典や名簿など

精進落としを終えたら喪主は、世話役から事務の引き継ぎを行います。引き継ぐのは、香典、供物・供花の記帳簿、弔辞・弔電、会葬者名簿に加え、諸々の請求書・領収書などです。
世話役が諸経費を立て替える場合もありますので、このときにしっかりと精算を済ませます。

各方面への支払いも忘れずに

葬儀後に支払うべき費用は葬儀社、仕出店への支払い、斎場使用料などがあります。葬儀社から葬儀後、2~3日で請求書が届きます。斎場費は、事前の見積もりと照らし合わせながら支払いを済ませます。また、通夜・葬儀の際に隣近所から食器などを借りた場合は、忘れずに返却します。お礼の品物・心付けも忘れずに用意します。

世話役へは感謝の気持ちを

葬儀などで世話役や係をしてくれた人にも、しっかりとお礼をします。お金は5千円~1万円を目安にし、世話役代表には多少、多く渡します。白封筒に「志」「御礼」と表書きして渡しましょう。最近は、現金ではなく商品券を贈る場合も多いようです。

挨拶まわりは2~3日以内に

葬儀後は、できれば2~3日以内に喪主が出向いて挨拶まわりをします。その際は喪服でなく、地味な平服程度で構いません。一般的に挨拶に伺うのは、勤務先(上司)、恩師・恩人など故人がお世話になった人、僧侶、世話役など葬儀に深く関わってくれた人たちです。

後飾りの基礎知識
後飾りとは、小さな仮の祭壇です。四十九日の法要までは、白木の位牌や遺影をここに祀ります。遺骨を埋葬していない場合は、一緒に祀ります。また仏飯、水などのお供えを欠かさずにし、ローソクやお線香、香炉、鈴も用意します。葬儀に参列できなかった方が弔問に訪れる場合もあるので、返礼も用意しておきま しょう。

細かく分類される葬儀費用

主な費用は寺院と葬儀社関係

葬儀は何かと出費が重なるものです。ここで費用全般について、おさらいしておきます。
まずは、寺院などに払う謝礼です。主にお布施や、戒名料、読経料(通夜、葬儀、初七日忌)、お車代、御膳料などです。これらの費用は寺院の格式や出席する 僧侶の位など、または地域の相場などによって異なります。葬儀社もしくは、近所の人と相談するといいでしょう。葬儀社に僧侶の手配をお願いした場合は、戒名によって読経の謝礼が異なります。また、「お布施」として戒名料と読経料を併せて渡すケースもあります。お車代は5千円が相場です。
次に葬儀社に払う葬儀一式の費用です。祭壇料と呼ばれるものと火葬費用が大まかな内訳ですが、火葬場へ向かう際のバスなどのレンタカー代などもこれに含まれます。 そして、仕出店に払う料理代金です。弔問者、会葬者をもてなす際の接待費用で、お手伝いさんなどへの食事代もこれに含まれます。
最後は香典返しのための費用です。また、挨拶まわりの際のお礼の品なども別途、必要になります。

生命保険の手続きも忘れずに

葬儀後に必要な手続き関係は次のようなものです。まず生命保険の支払い請求です。保険会社の生命保険の場合、一般的に2ヶ月以内に申請、3年以内に手続きをすることが必要です。それ以降になると、受け取る権利を失うので注意しましょう。手続きに必要な書類は保険証書、保険金を支払った最終分の領収書、死亡診断書、被保険者の死亡日が確認できる住民票または戸籍謄本、受取人の戸籍謄(抄)本、受取人の印鑑証明などです。その他は各保険会社に確認しましょう。
他に公的年金の諸手続き、個人の預金引き出し請求、市区町村からの葬祭費の受給手続き、故人の確定申告、公共料金などの名義変更に伴う各手続きが必要になります。

分かりにくい葬儀費用の内訳

料金設定が葬儀社によって違う

次に葬儀一式費用についてまとめてみます。おおまかに基本料金、式場費、オプション(基本料金以外の別料金)、火葬費などの諸実費、志などの雑費にわけることが出来ます。
これらの費用は葬儀社に支払うものですが、業者ごとに差があるのが実情です。また、葬儀社の見積もりは棺の代金を含んでいたりいなかったり、火葬料金が込みだったりそうでなかったりと多様です。

基本料金は祭壇・式場の設営費

まず確認しなければならないのが、葬儀の基本となる料金です。葬儀社ごとに基本料金の考え方が異なるので、喪主を中心にして判断しましょう。主に祭壇飾りなど式場内外の設営・撤収に関わる費用です。基本料金に含まれている項目は必ず最初に確認しておくことをお勧めします。
式場費用も、その規模などによって格差が大きいものです。寺院を式場として利用する場合も同様です。最低でも20~30万円の見積もりが必要でしょう。公営の施設は廉価で利用できるので、十分に検討しましょう。

基本料金以外は全てオプション費用

種類や数量によって金額に差が生じるのが、遺族の希望によって葬儀の基本に付加されるオプション的な費用です。湯灌費用、遺影花額、自宅での遺骨安置用祭壇、主看板、案内看板、門灯飾り(式場入り口の提灯)、受付やお清めで使用するテント、礼状、粗供養品、供花などが主なオプションになります。重要なことは葬儀社に必ず見積書を依頼し、単価、数量を明記してもらうことです。

火葬に関する費用は別に用意

さらに祭壇関連費用とは別に火葬や搬送に対する実費の準備が必要です。火葬費、控室代金(火葬中に待機する部屋)、霊柩車代金、送迎用のハイヤー、火葬場へ向かう際のマイクロバス代金などです。葬儀社によっては火葬費も基本料金の中に含まれているところもあります。

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