香の原料

香の原料

お線香・お香の原料の多くは天然由来です。よって、天然のものだけに入手困難なものも少なくありません。
その中でも代表的なお線香・お香の基本基材、香原料をご紹介します。

基本基材

お線香の形を保つため、燃焼させるために必要な原料です。お線香中に多くの割合を占めます。

  • 椨(たぶ)
    椨(たぶ) 主にお香やお線香の糊材として用いられており、ほとんどのお香やお線香に多く含有されています。
    燃焼臭が比較的少ないため、お線香・お香に使用される香りの邪魔をしないことも特徴の一つです。
    木の樹皮部分なので木を伐採する必要がなく、森林破壊にならないため、サステナブルな原料と言えます。
  • 炭(すみ)
    炭(すみ) 主に微煙線香に使用されています。
    炭を入れることで燃焼性を高め、燃焼時間と煙の量を調節しています。

香原料

それぞれ特徴的な香りを持ち、お線香やお香の香りのベースのような役割をします。

  • 白檀(びゃくだん)
    白檀(びゃくだん)
    香調
    ソフトでミルキーなウッディ調の香気を有し、香りの持続性に秀でています。産地により香りの特徴が異なります。
    インド産:清涼感のある甘味を有する香り
    インドネシア産:甘みに微かな酸味を感じる香り
    オーストラリア産:酸味が特徴的な香り
    産地
    インド、インドネシア、オーストラリア、バヌアツ、フィジー等
    特徴
    白檀は常緑小高木で高さは3〜4m、樹肌は灰白色で滑らか、インセンスには欠かせない、重厚な甘い香気を心材部分に持つ香木です。
    成長がとても遅く、心材に香油がたまりはじめるまでに30年、インセンス用として使用するには60年以上がかかると言われています。心材は淡黄色~褐色をしており、この心材と根の部分に香油が多く含有されています。白檀には亜種が多いですが、インド産のものが芳香性で高級品とされています。
  • 沈香(じんこう)
    沈香(じんこう)
    香調
    沈香の香りは五味【甘味、辛味、苦味、酸味、鹹味】などで表現されることがあり、香木によりそれぞれ特有の香りがします。また産地によっても香りに特徴があるとされています。
    ベトナム産:涼やかで甘みのある香り
    インドネシア産:木の温もりを感じる香り
    ボルネオ産:華やかでさわやかな香り
    産地
    ベトナム、インドネシア、ボルネオ等
    特徴
    ジンチョウゲ科アキラリア属の樹木です。沈香となる原木には香気がなく、老木や土中に埋没した倒木、枯木のほか虫食い等の傷害木に真菌類が作用して、長い年月の間に香気を発する樹脂が生成して沈香となります。沈香は字のごとく水に沈む木で、比重が大きく香物質の樹脂分を多く含有しています。
  • 伽楠香(かなんこう)
    伽楠香(かなんこう)
    香調
    総じて五味の香りをバランス良く持っています。香木ごとに五味の香質に特徴があるため、それぞれが唯一無二の香りを有しています。また伽羅は、木肌の色や香質ごとに、緑油・黒油・紫油・黄油と大まかに分けられ、香りの分類分けができるという特徴があります。
    緑油:総じて五味が香り、微かに辛味が立つ
    黄油:艶やかに甘味が立つ
    紫油:艶やかに酸味が立つ
    黒油:艶やかに苦味が立つ
    産地
    ベトナムのごくわずかな地域
    特徴
    沈香の最高級品を加楠香または伽羅と呼びます。ベトナムのごくわずかな地域でしか採出されない非常に希少且つ高価な香木です。現在も詳しいことはほとんどわかっておらず、沈香と伽羅の違いは含まれる成分の違いであると解釈されています。かつては天皇や将軍など、時の最高権力者、貴族や高僧、豪商といった人々しか香りを聞いたり、扱ったりすることができなかったほどの最高峰の香木です。
  • 桂皮(けいひ)
    桂皮(けいひ)
    香調
    スパイシーさと甘さが両立している香り。
    中国産は甘みが強く、ベトナム産はスパイシーさが強い。
    産地
    中国南部、ベトナム等
    特徴
    クスノキ科の樹皮を乾燥させたものです。
    シナモンと呼ばれていて、お菓子や料理にも使用されます。
    健胃剤、解熱剤、鎮痛剤などの生薬としても使用されます。
  • 丁字、丁香(ちょうじ、ちょうこう)
    丁字、丁香(ちょうじ、ちょうこう)
    香調
    辛味のあるスパイシーノートが特徴的。
    少し使うと甘みを感じ、たくさん使うとホットな辛味、量が多いと薬臭くなります。
    産地
    ザンジバル島、マダガスカル、インドネシア等
    特徴
    フトモモ科の丁香樹の花が開花する前の蕾を乾燥させたものです。
    クローブとも呼ばれています。
    少量使うと甘みのある原料で、バニラの主成分であるバニリンを含有しています。
  • 安息香(あんそくこう)
    安息香(あんそくこう)
    香調
    バニラ様の甘みのある香り。
    産地
    タイ、ラオス、スマトラ島等
    特徴
    エゴノキ科エゴノキ属アンソクコウノキの木の幹に傷をつけ、樹液を採取して乾燥させたもの。
    香りの保留剤となります。
  • 龍脳(りゅうのう)
    龍脳(りゅうのう)
    香調
    カンファリックと言われる清涼感と清潔感のあるすっきりした香り。
    産地
    マレー半島南部、スマトラ島、ボルネオ島等
    特徴
    熱帯雨林に分布するフタバガキ科の常緑樹の樹液が結晶化したものです。
    木の主成分としてボルネオールを含有しています。
    書道で使う墨で“にかわ”のにおい隠しとして使用されています。
  • 大茴香(だいういきょう)
    大茴香(だいういきょう)
    香調
    シキミ科の常緑喬木の成熟果実を乾燥させたもの。
    スターアニスや八角とも呼ばれます。
    中国料理の香辛料としても有名です。
    産地
    インドシナ北部、中国の広西、広東等
    特徴
    スパイシーな甘さが特徴で、同時に苦み、辛味も感じられます。
  • 乳香(にゅうこう)
    乳香(にゅうこう)
    香調
    フランキンセンスやオリバナムとも呼ばれています。
    小喬木の樹皮に傷がついた時に滲み出る乳白色の樹液で、空気に触れると黄色く固化します。
    キリスト教における薫香で用いられ、西欧で広く使用されています。
    産地
    スーダン、エチオピア、ソマリア等
    特徴
    柑橘様の清涼感のある香りが特徴的です。
    爽やかな甘みのあるバルサムノート。乳香独特の神聖な香りがします。
  • 山奈(さんな)
    山奈(さんな)
    香調
    ジンジャー様の清々しい香りが特徴です。
    産地
    中国広西、雲南、広東、台湾等
    特徴
    ショウガ科の植物の根茎を輪切りにしたものです。
    建胃剤に使用されます。
  • 甘松(かんしょう)
    甘松(かんしょう)
    香調
    ウッディ、土っぽい匂いのアーシー、時に甘く濃厚なアニマリックにも感じる不思議で特徴のある香りです。
    産地
    中国、インド、ネパール山岳地帯等
    特徴
    中国、インド、ネパールの山岳地帯に自生しおり、標高2000mを超える岩肌になっている植物で収穫がとても大変な原料です。
  • パチュリ
    パチュリ
    香調
    オリエンタルでウッディ、アーシーとも表現される香りです。
    産地
    インドネシア、中国、台湾等
    特徴
    シソ科ミズトラノオ属のパチュリ全草を乾燥させたものを原料として用います。
    防虫効果があります。
  • ラベンダー
    ラベンダー
    香調
    清潔感のあるスッキリとしたハーバルな香り。
    産地
    フランス
    特徴
    シソ科の植物で、青紫色の米粒ほどの花が芳香を発します。
    アロマテラピーの発展により、広く愛される香りです。
  • 貝香(かいこう)
    貝香(かいこう)
    香調
    清涼感のある磯のイメージがある香り。
    産地
    マダガスカル、ザンジバル等
    特徴
    巻貝の蓋の部分です。
    身(タンパク質)の部分を丁寧に除去し、乾燥させた後粉砕し原料として使用します。
  • 麝香(じゃこう)
    麝香(じゃこう)
    香調
    温かみのある、官能的で、アニマリックな香り。
    産地
    ヒマラヤ、チベット、中国雲南省等
    特徴
    雄の麝香鹿の包皮腺にあたる香嚢内部を摘出して乾燥させたもの。
    天然ムスクは動物愛護の観点から入手困難な状況のため、合成ムスクの研究が発展しています。
  • 龍涎香(アンバーグリス)
    龍涎香(アンバーグリス)
    香調
    透明感のあるアニマリックノート。 熟成するにつれて、甘さと土っぽさのあるアーシー感が出てきます。
    産地
    世界各国の海上・海岸
    特徴
    龍涎香が生成されるメカニズムは未だ明らかにはなっていませんが、マッコウクジラの腸内に発生する結石と考えられています。マッコウクジラの体内でできた結石が排出されて海に流され、偶然に海岸で見つけられることが稀にあります。
  • 海狸香(カストリウム)
    海狸香(カストリウム)
    香調
    アニマリックノート。
    レザーノート。
    産地
    カナダ、アラスカ等
    特徴
    ウミダヌキ科に属するビーバーの生殖腺近くの一対の香嚢で、雄雌が持っています。
    寒い地域に住みビーバーはここをオイルタンクとして身体を温めています。
伝統的なお香の原料として貴重な動物性香原料も使われてきました。
近年では、動物愛護の観点から入手が困難な状況のため、合成香料の研究が発展しています。