仏壇に飾る仏具
お位牌や遺影の並ぶお仏壇に飾る品は、各宗派によって違いますが、最も基本となるのは、お香・花・灯明です。
お線香を焚くのは、仏様に身も心も清浄にしてから近づかせていただくためで、線香でも抹香でもよく、香炉で焚きます。
花は、仏様に花のような清浄な心で、徳を讃美します。新鮮なものを花立てに活けて、ご本尊に向かって左側(2つの場合は左右両側)に置きます。
灯明は、仏様の知恵をあらわしている光明にあたり、浄火を燃やすという意味を持っています。ご本尊に向かって右側(2つの場合は左右両側)に置きます。
その他には、仏飯器・茶湯器などがあります。
仏壇がない場合の供養
家に仏壇のない方でも、供養の心を持ち、作法にとらわれず供養を行いたいと思っている方も多いようです。そのような方は、香炉・花立て・ローソク立ての3点をそろえれば、家で簡単に供養ができます。
お供えするお線香も最近では、煙の少ないものや、香りが自然なものが出ていますのでご自分の好みにあったものをお選びください。
お盆について
日本各地で行われているお盆の行事は、各地の風習や、宗派による違い等によって様々です。一般的には先祖の霊が帰ってくると考えられています。日本のお盆は先祖の霊と一緒に過ごす期間です。
「盆」は正式には「盂蘭盆(うらぼん)」といい、毎年7月15日に祖先を供養する行事です。
「盂蘭盆」は、梵語(注1)のウラバンナが日本語に音写されたものです。
釈迦の弟子の一人であった目蓮(もくれん)が、亡き母が餓鬼道(生前強欲だった者が死後に行く、飢えと乾きに苦しむところ)で苦しんでいるのを知り、釈迦に教えを乞うて7月15日に供養をしたところ、母は救われて極楽浄土に行くことができたといわれています 。
- 注1 梵語・・・
サンスクリット語(インド) - このインド発生のいわれが仏教の伝来と共に日本にも伝わり、宮中行事をへて、古来からの御魂祭りや農閑期の祭りなど、家や地域社会の風習と結びついて江戸時代以降大衆化し、全国各地で行われるようになりました。
お盆の迎え方
13日 迎え盆
(むかえぼん)
- 1.盆棚づくり
- 祖霊を供養する「盆棚」(「精霊棚」とも言われます)をつくり、お供え物などを準備しましょう。
昔は、戸外に葉つきの青竹を四隅に立てて棚を作ったり、棚を天井から縄でつるすなど大がかりでした。いまでは仏壇の前に机を置き、真菰(まこも・・・ススキに似た多年草)を敷く程度か、盆棚は作らず仏壇で迎えることも多いようです。
お供え物は、位牌 水鉢 季節の野菜・果物 キュウリの馬・ナスの牛 燈明(とうみょう) 盆花(ぼんばな) 供え物(餅・団子)など です。 - 2.仏壇そうじ
- 仏壇をきれいに掃除しましょう。地方によっては扉を閉じるところもあります。
- 3.墓参り
- 墓所を掃除します。夕方のお墓参りは祖霊を迎えに行くためのものです。
- 4.迎え火
- 13日の夕方か夜に菩提寺とお墓に参り、祖先の霊を迎えます。これを「精霊迎え」と言います。この時に霊が迷わずに帰って来られるように焚くのが「迎え火」です。地方によってはお墓からの道筋に、沢山の松明(たいまつ)を灯す所もあります。 提灯(ちょうちん)や灯籠(とうろう)も同様に祖霊が目印とするものとされ、13日の夕の墓参りにも持参します。新盆(にいぼん)の家では必ず、盆提灯を飾るのがならわしです。
14日、15日
- 5.先祖供養
- 仏壇には毎日三回食事を供え水を取り替えます。
お線香と燈明も欠かさず灯し、お供え物をしてください。
特に新盆の家ではこの期間、親類や故人にゆかりの人を招き、精進料理で供養するのがならわしです。
16日 送り盆
(おくりぼん)
- 6.送り火
- 7.精霊流し
- 霊が帰る日の夜、または翌日に、盆棚や供え物を川や海に流す精霊流しをします。
「わら」や「おがら」でつくった精霊船に、灯籠やろうそくを立てて川に流す風情のあるならわしです。
「新盆」の迎え方
四十九日の法要後、初めて迎えるお盆のことを「新盆」といい、特に手厚く法要をするのが一般的です。
仏壇の前に盆棚を設け、お供えを飾ります。盆棚は、精霊棚(しょうりょうだな)ともいいます。初日には迎え火を焚いて、先祖の霊をお迎えします。
また「新盆見舞い」(にいぼんみまい)という、亡くなった人の家を訪ねる習慣もあります。その際は心のこもったお供えとして良い香りのお線香を贈られると、きっと喜ばれることでしょう。
お盆はもともとは7月の行事
今では8月15日を中心に、ひと月遅れ(旧盆)の盆行事をするのが最も一般的のようです。これは明治になって新暦が採用されるようになり、7月15日に盆行事を行うと、農家の人達にとって、最も忙しい時期と重なってしまい都合が悪かったからです。
そしてお盆をひと月遅らせ、ゆっくりと先祖の供養をするのです。
- きゅうりやナスで作る精霊馬
- 地方によっては、お盆の期間中には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として、「精霊馬」(しょうりょううま)と呼ばれるきゅうりやナスで作る動物を用意することがあります。4本のマッチ棒、あるいは折った割り箸などを足に見立てて差し込み、馬、牛を作ります。きゅうりは足の速い馬に見立てられ、あの世から早く家に戻ってくるように、またナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、との願いが込められています。
お彼岸について
暑さ寒さも彼岸まで・・・というように、お彼岸は四季を持つ日本にとって、穏やかで、過ごしやすい季節の訪れを感じさせてくれます。お彼岸の期間は、春分と秋分の日を中日として、その前後3日間を合わせた1週間にあたります。初日を「お彼岸の入り」、終日を「お彼岸のあけ」といいます。春分と秋分の日には、太陽が真東から出て、真西に沈みます。昼と夜の長さも同じになることから、気候も快適になるのでしょう。
「彼岸(ひがん)」は、サンスクリット語の「パーラーミータ(波羅蜜多)」に由来します。パーラーとは「向こう岸」を、ミーターは、「渡る」を意味しま す。つまり「彼岸」は悟りの世界をいいます。これに対して、私達の住む迷いの世界を「此岸(しがん)」といいます。仏教には、西方浄土といって西に極楽があると考えられています。春分と秋分の時期に、ご先祖様のご供養をするということは、心の持ちようで私達も彼岸に行くことが最も可能な時ということになるでしょう。深くご供養を心がければ、彼岸にいったことと同じことがいえるのです。
お彼岸は日本独自の習慣で、彼岸の入り前からお仏壇をきれいに掃除し、お供えをし、ご先祖様をご供養します。 お供えの代表的なものとして、餅米を軽くついてちぎった餅を丸め、小豆あんやきな粉をまぶしたもので、春なら牡丹餅、秋ならおはぎがあります。どちらも季節の花にたとえられたものとされています。
お線香は、やはり香りのよいものをあげたいものです。お彼岸には、日本香堂のお線香を用意して、ご先祖様をご供養されてはいかがでしょうか。
彼岸とは極楽浄土へ到達すること
春と秋には六波羅蜜の教えを彼岸とは「到彼岸」を略したもので、文字通り彼岸へ到達するという意味です。彼岸とは悟りの世界を意味し、迷いや苦悩に満ちたこちら側の岸(此の岸)に対 して、あちら側の岸(彼の岸)を指しています。つまり極楽浄土の事を意味しています。では、どうしたら極楽浄土の岸へ渡れるのでしょうか?仏教には六波羅蜜の教えというのがあります。
- [布施] 他人へ施しをする事。
- [持戒] 戒を守り、反省する事。
- [人辱] 不平不満を言わず耐え忍ぶ事。
- [精進] 精進努力する事。
- [禅定] 心を安定させる事。
- [智慧] 真実を見る智慧を働かせる事。
こうした教えの数々は本来ならば毎日心がけるべきなのですが、日頃は忙しくて中々実行できないのが現実のようです。そこで、せめて春と秋の年に2回位は実践しようというのが、お彼岸法要の意味です。
お彼岸には、先祖のお墓にお参りし、感謝と冥福を祈るとともに、六波羅蜜の教えを実行しましょう。
お彼岸にはお墓をキレイに
お彼岸には出来るだけ家族揃ってお墓参りしましょう。特別な作法はありません。墓石をキレイに洗い、お墓の周囲も掃除して花や線香をたむけ、お菓子等もお供えします。
合掌礼拝の前に水桶からたっぷりと水をすくい、墓石の上からかけます。水をかけるのも供養の一つです。
また家庭では仏壇を掃除し、新しい花、ぼたもち・おはぎ等をお供えします。
- お墓参りには次のものを用意しましょう。
- 「数珠(念珠)」「お線香」「ローソク」「マッチ・ライター」「花束」「菓子・果物」「半紙」「手桶」「ひしゃく」「たわし」「ほうき」「雑巾」など
彼岸会にも参加しましょう
お寺ではお彼岸の期間に「彼岸会」の法要が営まれます。読経や法話などが行われますので、お墓参りの折りには彼岸会にも参加してご供養をお願いしましょう。
忙しくて時間が無い場合でも、本堂のご本尊へのお参りとご住職への挨拶は欠かさないようにしたいものです。
- 春のぼたもち 秋のおはぎ
- お彼岸のお供えに欠かせない「ぼたもち」と「おはぎ」。両方とも、蒸した餅米とアンコの同じ素材で作られる食べ物ですが呼び方が違います。
それは季節の花になぞらえているからです。つまり、牡丹の季節(春彼岸)にお供えするのが「ぼたもち」で、萩の季節(秋彼岸)にお供えするのを「おはぎ」と言います。