いざという時の手引き

葬儀後・法要の手引き-いざという時の手引き

葬儀後・法要の手引き

香典は半返しが基本

忌明けの法要の際に用意する

一般的な香典返しのタイミングは、三十五日か四十九日の忌明けの法要の際になります。香典は「半返し」が基本になるので、いくつかの価格の品物を用意し、香典額に応じたものを送りましょう。
また香典返しの際は弔事用の掛け紙が必要ですので、デパートなどに依頼します。また奉書紙か半紙を使って品物を包み、黒白の水引をかけて「志」か「忌明志」と記し、下部に「○○家」と書き記すのが通例です。
品物はお茶、菓子類や石鹸、タオル、シーツなど実用的な物を選びましょう。

香典返しを通夜・葬儀の当日に?
最近の風習で急速に定着しつつあるのが香典の「即日返し」です。式場の出口で参列者に手渡しするため、香典帳の整理が不要であったり、配送料が必要ないなどといった便宜上の理由から多くの人が即日返しをしているようです。もちろん香典をもらう前に品物を選ぶわけですから一律の額の物を選ぶことになります。 香典が特に高額だった人には忌明け後に改めて、別の品物を送りましょう。

挨拶状は自筆で書きたいもの

品物に添える忌明けの挨拶状には、納骨、四十九日(三十五日)の法要を済ませたこと、香典返しを送ったこと、会葬の御礼を記します。
また挨拶状は、薄墨の筆書きで記すのが通例です。かつては、自筆でしたためるのが礼儀でしたが、最近では件数が多い時などは、印刷されたものを利用しても失礼にはあたりません。

忌明けの挨拶状文例

謹啓
先般 父○○永眠の際はご懇篤なご弔辞を戴き、その上ご鄭重な御供物を賜り誠に有り難うございました。ご芳情のほど厚く御礼申し上げます
本日

○○○○信士

七七日忌法要相営みました。
就きましては供養のお印までに心ばかりの品をお送りいたしましたので何卒ご受納下さいますようお願い申し上げます。先ずは略儀ながら書中をもって謹んでご 挨拶申し上げます。

敬具
平成○○年○月○日
○○○○

故人を供養する法要はいつ?

初七日の次は三十五日の法要

法要は「故人があの世でよい報いを受けられるように」と願いを込めて供養するための儀式です。法会、法事とも呼ばれます。仏教では、人が亡くなると 四十九日間は死者の魂が迷っているとされています。ですので、魂を定めるために七日間ごとに七回、あの世で生前の罪状などを裁く審判があるとされています。遺族は成仏できるよう、極楽へ行けるようにと、読経し供養するのです。
また、最近では七日間ごとに法要は行わず、主に初七日、三十五日、四十九日の法要を行うのが通例です。
初七日は最初の忌日にあたります。近親者、親戚、友人・知人を招き、僧侶に読経してもらいます。火葬後の遺骨迎えに続いて行われます。
三十五日は最近の風習では、この日をもって忌明けとする傾向が強いようです。また、宗派によってはもともとこの日が忌明けになることもあります。

四十九日は大切な区切りの日として、盛大な法要を営みます。すでにお墓がある場合は埋葬を行うこともあります。

法要早見表

初七日 7日目 最近は葬儀の日に遺骨迎えの儀式と合わせて行うケースが多いようです。
僧侶、親族、友人・知人などを招いて行います。
五七日 35日目 最近は忌明けを早める傾向があるため、この日を忌明けとします。
僧侶、親族、友人・知人などを招いて行うケースが増えています。
七七日 49日目 僧侶、親族、友人・知人などを招いて、寺などで行います。百ヵ日の法要を兼ねる場合もあります。
百ヵ日 100日目 僧侶を招いて読経をしてもらいますが、四十九日の法要と同時に行うことが多いようです。
一周忌 1年目 僧侶、親族、友人・知人などを招いて、比較的盛大に行われます。

以降は、2年目に三回忌、6年目に七回忌、12年目に十三回忌、16年目に十七回忌、22年目に二十三回忌、26年目に二十七回忌、32年目に三十三回忌、36年目に三十七回忌、49年目に五十回忌、そして99年目に百回忌の法要を行います。
七回忌以降は招く人を少なくして、ごく内輪だけで行うことが多く、省略されることもあります。
一般的には三十三回忌くらいで「弔い上げ」となることが多いようで、三十七回忌以降は省略されるのが最近の風習のようです。

※年忌法要は原則として祥月命日に行います。

服喪期間とは?
喪に服するべしとされている期間で、次に解説する忌中・喪中期間がこれにあたります。ただ、完全に慶事祭礼への出席を自粛するのは、ほぼ公務員の忌引休暇の規定日数くらいです。死亡した人で異なりますが、配偶者10日、父母7日、子ども5日、祖父母兄弟3日などです。

法要では何をする?

四十九日か三十五日をもって忌明け

四十九日(または三十五日)の忌明けには、僧侶の読経、参列者の焼香、法話などが行われ、その後お墓参りをします。最近では、四十九日の法要とあわせて納骨をすることも多く、続けて納骨式を行うこともあるようです。また、祭壇の白木位牌をお寺に納め、塗り物の位牌に変え仏壇に納める「入魂供養」も行います。
法要行事のあと施主や遺族は会食の席を設け僧侶と参列者をもてなします。

年賀状のやりとりはできれば控える

喪家では一年間喪に服し、お祝い事などの行事を避けることから、服喪期間中は年末年始の挨拶回りや年賀状などを控えます。遅くとも11月末から12月初旬頃までに「身内に不幸がありましたので、年始のご挨拶はご遠慮させていただきます。」と年賀欠礼状を出しましょう。
また、お中元・お歳暮のやりとりは、忌明け後から通例通り行うのが一般的のようです。

法要はできるだけ「命日」に

故人が亡くなった同じ月の同じ日を祥月命日(しょうつきめいにち)と呼びます。広く「命日」と呼ばれているものが、これにあたります。
満1年目の祥月命日を「一周忌」、2年目を「三回忌」または「三年忌」といいます。それ以降、七回忌、十三回忌、三十三回忌などの回忌ごとに法要が営まれます。かつては百回忌までが営まれていましたが、最近では三十三回忌を境にそれ以降は行いません。

「忌中と喪中」は何が違う?
近親者が亡くなった際に忌中、喪中といった言葉を使いますが、どのように使い分けるのでしょう?忌中とは亡くなった日から四十九日までを指し、喪中は四十九日以降から1周忌までを指しています。かつては忌中・喪中期間は「日常生活での慶事への関わりは避け、故人の弔いに専念して精神的な傷を癒す」とされてきましたが、現代社会では忌中を過ぎたら日常生活に戻すことが多いようです。

三回忌以降の法要は身内のみ

法要の準備は日取りの決定から

法要を主催する人を「施主」といいます。葬儀の際の喪主が勤めるのが一般的です。
法要の際、まず決めなければならないのが、日取りです。例えば四十九日であれば、ちょうどその日に法要を行えればよいのですが、当日が平日の場合などには土曜・日曜にずらして行います。また法要は菩提寺で行うことが多いので、日取りが決まったら僧侶の都合を確認しておきます。同時に、予算や招待する人数を 明確にし、寺側と事前に十分な打ち合わせをしておきましょう。
列席者へは電話か封書で連絡します。封書を利用する際は返信用のハガキを同封しましょう。また必要であればお寺や会場までの道順を示した地図を用意すると丁寧です。
列席者の範囲は、一周忌までは故人の友人、知人、勤務先の人なども含まれ多いものですが、三回忌以降は身内だけが集まるようになり、徐々に少数になっていくのが普通です。
服装は四十九日と一周忌までは喪服を着用し、三回忌以降は地味な平服や準喪服でかまいません。

料理は一人5千円程度が相場

法要の費用は主に、僧侶へのお布施(読経料)会食の料理代、引き出物代です。料理は1人5千円程度が相場で、引き出物は2千円~5千円くらいのものを用意します。会食の席には僧侶も招き、引き出物も渡すのが一般的のようです。
菩提寺へのお布施の相場は5万円~8万円。納骨式を行う場合は別に読経料を2万円~3万円包みます。

喪主と施主は何が違うの?
喪主は葬儀全般の主催者の役割を果たし、喪家の代表として弔問を受ける役割があります。また施主は「お布施をする主」の文字通り、葬儀費用を負担する役割のある人です。多くの場合、喪主と施主は兼任されます。また法要を営む際の主催者を総じて施主と呼びます。一般的には葬儀を営むのが「喪主」、法要を営む のが「施主」と受け取られているようです。

法要は形式張らずに

読経、焼香、法話が主な式次第

法要は葬儀に比べてあまり形式張ったマニュアルは存在しませんが、次のような進み方が一般的のようです。
まず始めは僧侶による読経が行われます。続いて焼香に移ります。通例では通夜・葬儀の際の順に行いますが、参列者が異なるのでその限りではありません。また僧侶による法話が行われる場合もあり、法話をもって法要は終了となります。
続いて墓参を行います。参列者が順に拝礼します。ここまでが寺院などで行われ、以降は場所を変えて会食を行います。

法要はなぜ7日おきに?
仏教では逝去してから7週間は、死者の霊は現世とあの世をさまよっていると考えられています。そしてその間に遺族が故人の霊を供養することで、極楽浄土へ送れるとされています。また霊は冥土の裁判官によって7日間ごとに7回の裁きを受けるともされています。そうした理由から現在でも7日を区切りとし法要などが行われているのです。

墓参に必要な用具を忘れずに

まず事前に確認しておくこととして、法要の際に卒塔婆を立てる場合は施主が前もって菩提寺に本数などを伝えておく必要があります。また当日は花、ローソク、お線香、故人の好物など墓参に必要な用具を忘れずに持参します。
年忌法要を終わらせる三十三回忌の際なども事前に菩提寺にお願いしておきます。また、読経料とは別に永代供養料も必要になります。地域性など、いくつかの条件によって異なりますが、50万円~60万円程度が相場のようです。

卒塔婆の由来っていったい何?
卒塔婆(そとば)とは供養の意を込めて表裏に経文・戒名・没年月日などを記して墓石の後ろに立てる細長い板のことです。また語源は古代インドのサンスク リット語の「ストゥーバ」からきています。ストゥーバとは仏塔とも訳され、お釈迦さまの遺骨を納めた塔を意味しています。寺院で見かける五重塔も元を辿るとストゥーバに由来しています。そして卒塔婆は五重塔の形にならって作られていて、仏教が示す5つの世界観である「空・風・火・水・地」を上から順に現しています。

法要は喪服を着用せず

案内状が届いたら早めに返事を

法要は故人とのかかわりの深い人を招くものですから、やはり、招待を受けた場合は、よほどの用事がない限り出席しましょう。案内状が届いたら、施主の準備 に支障が出ないよう、早めに出欠の返事を出すのがマナーです。どうしても都合が悪いときは、欠席の返事と併せて、お詫びの手紙を出すようにします。その 後、法要の前日までに届くように供物料を郵送します。
また法要に都合がつかないので、別の日にお焼香をしたいという場合には、その旨を伝えて訪問しましょう。
遺族も快く迎えてくれるでしょうし、何より故人も喜ぶことでしょう。

三回忌以降は施主も私服で参列

年忌法要であれば喪服でなくとも地味な私服で参列してかまいません。また、三回忌以後は、施主も喪服を着用しないことが多いので、男性はグレーのスーツ、女性は地味なワンピースなどを着用しましょう。喪服で出掛けてはかえってマナーに欠けてしまいます。

香典の半額を目安に供物料を

法要に出席する際は、葬儀の際の香典に相当する「供物料」を持参します。法要の規模などによっても異なりますが、葬儀の際に包んだ香典の額の半分程度を目 安にします。不祝儀袋の表書きには、「御仏前」あるいは「御香料」「御供物料」と記します。供物料とは別に何か品物を贈るときは、故人の好きだった物や、 日持ちの良い菓子などを持参しましょう。

大切なのは故人を想う気持ち
これまでいくつもの決まり事やマナーなどを紹介してきました。もちろんそれらを知識として蓄え、通夜から葬儀に至るまで、相手方に失礼の無いようにしたいものですが、最も肝心なことは故人や遺族に対する気持ちです。またこういったことを機会に先祖を思いやる心掛けも忘れずにしたいものです。

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