- 実証結果のまとめ
株式会社日本香堂と東京大学が
「香り」の記憶に対する作用を研究
- ~レモン・サンダルウッドの香りは、記憶課題の解決や記憶保持を促す作用も~
- 日本香堂では「香りの可能性」を広げるべく香りの研究を進めており、2020年から国立大学法人 東京大学様と精油の香りが記憶機能に及ぼす効果やその脳内メカニズムの解明をテーマに脳科学のアプローチから共同研究を行ってまいりました。
- 実験は、東京大学工学系研究科の上田特任講師の協力のもと、日本香堂の研究員、調香師も参加し、レモン、サンダルウッド(白檀)、楠(カンファー)の精油の香りの吸引が、ワーキングメモリーという記憶機能に及ぼす効果について脳波計測手法を使って調べました。
共同研究者コメント
例えば、特定の香りにふれることで過去の記憶を鮮明に思い出したり、その時の強い感情がよみがえったりするプルースト効果は,香りと記憶,感情の密接な結びつきを示す興味深い現象です。
鼻から吸った匂い分子が鼻の嗅覚受容体を刺激し、脳の嗅覚神経を通じて嗅覚的な処理をすると同時に,大脳辺縁系の海馬,扁桃体,帯状回を刺激し,その香りに関わる過去の経験の記憶や感情を引き出すのかもしれません。
精油の香りが、人間の脳の機能、とりわけ記憶機能や感情機能に何らかの影響を与えている可能性があると言えそうです。
精油の香りが記憶機能に及ぼす効果やその脳内メカニズムを脳科学からアプローチした今回の実験では、レモンの香り・サンダルウッドの香りとワーキングメモリー機能に関わる脳内メカニズムが明らかになり、記憶課題の成績向上、記憶保持に向く作用が期待できることが判明しました。
このことは、レモンやサンダルウッドの香りをうまく活用することで、勉強はもちろん、ビジネス、スポーツ競技など幅広い場面でのパフォーマンス向上が期待できるということを示唆しています。
今回の共同研究を通して、未知の部分の多い香りについて、その一部を解明できたことを大変うれしく思います。
今後、香りと脳科学の関係についての研究が一層進むことで、香りが他の機能(例えば、集中力、言語能力、創造性など)に及ぼす効果などが少しずつ解明され、香りを上手に使うことで人々の生活が豊かなものになることを期待いたします。