香を「聞く」

「香道」では、香りを「嗅ぐ」のではなく「聞く」と言います。
繊細な澄んだ香りが心に呼びかける・・・
そんな意味を持った素敵な言葉です。


香道は一定の作法に従って香木をたき、その香りを文学的テーマのもとで鑑賞する芸道であり、茶道、華道と共に室町時代に形づくられたものです。祈りの香として仏教と共に日本へ伝えられた香は、平安時代になると雅びな楽しみの香へと発展しました。

香は貴族たちの生活文化として欠かすことのできないものとなりました。

そして数百年を経て室町時代に「香道」として体系化されるまでになりました。
香道において、香の香りを嗅ぎ分けることを「聞く」(「利く」)といい、香道は「聞香」(ききこう、もんこう)といわれます。“香を聞く”ことは、つねに香りを嗅ぎ分けることから始まり、感覚をよびおこすことで終わります。

香を聞く方法は、香炉に小さな炭団を埋め、その上に銀葉という雲母板を置き、そこに3ミリ角ほどの小片に切った香木をのせてたき、かすかにくゆる香りを聞きます。昔の人達は「馬尾蚊足」といい表し、馬のしっぽの毛や、蚊の足のように細い香木を用いて香を楽しみました。これは、日本では産出されない貴重な香木を大切に永い間使うためにとられた手段で、そのおかげで今日でも、何千年もの間受け継がれてきた香木を楽しむことができるのです。そればかりではなく、「馬尾蚊足」程度の量の方が、たきはじめからたき終わりまでの香りの変化を楽しむことができ、多すぎたのではむしろ、この変化を味わうのが難しくなるといわれています。感性豊かな日本人は「香り」で日本の詩情豊かな四季折々のイメージを作り上げ、また美しい日本の名所・旧蹟を香りの世界に託して表現しました。
「香道」の所作は“静”ですが、その優雅な静かさの中には、千年余にわたる歴史の重みと、非常に高度な感性が秘められています。人間の五感のなかでも、嗅覚を主役にした「香道」は、まさに日本人ならではの繊細な感性が生み出したものといえるでしょう。

香道について、詳しく学んでみたい方は、香道教室も開催している「銀座香十」、または鎌倉の香老舗「鬼頭天薫堂」へお問い合わせください。

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